この秋いかがお過ごしだろうか、秋は嫌な季節だ。
私はいま登山や様々な自然に出かけたせいか、足の親指を動かすと足裏の健が千切れそうになり走る事はおろか歩くことさえ辛くなった。それでも病院には行かない。小学校の時、兄の蹴りが右手の小指に当たり近くの病院で検査して骨にひびが入ったとか筋がどうだかで治療をしたが、痛みが無くなっても二度とまっすぐにこの小指は立たなくなった。だから病院に行かない訳じゃない。ピニクリなんだ。
医者に診てもらっている時「これ指が～〇〇でーこうなっちゃってますねー…ピニクリッ…」「すぐには治らないですねー…ピニクリッ…」…？聞き間違いか…？今ピニクリと言ったのか...？たまにだ...ランダムに言ってきている…ギリ聞こえるか聞こえないかぐらいのチャレンジを小学校低学年に仕掛けているのか？もしかして医学用語なのか？説明があるたびに確かに小さい声で言うんだ、ピニクリッ！…と。
嫌だった。ピニクリがすごく嫌だった。あれは30代ぐらいだろうか？真面目そうな風体で穏やかな口調、放たれるは柔らかなピニクリ。母はなぜ気にならない？なにか奇妙な現象が起きている孤独の感覚が恐ろしかった。帰り道に言ったんだ、あの人怖い、ピニクリなんだと母に話した。はいはい大丈夫大丈夫みたいな感じだ。よく小さい子がいなされるアレだ。全世界でアレでいなされてる子供たち…俺だけが君の味方だ。許せないと思った、それでも母は信じない。兄には蹴られた、そこに信頼はない。父は競馬、金がない。医者はピニクリ、指は立たない。だからゼロオピニオン、病院には行かないピニクリの秋。
「出てる人」
がちわ/とし
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