作:TM
使用してきたスマホ一覧。
ARROWS X F-02E:スマホが少し熱くなるだけで電源が落ちる。正直、初めてのスマホで最悪の機種に当たった。 2013年発売 兄からのお下がり
XperiaZ 3 compact:手のひらサイズの使いやすい機種。ただ、イヤホンジャックが定期的に壊れるのがネックだった。2014年発売
Xperia xz premium:世界初の4K HDR対応のスマホ。次のスマホ買うまでスマホで4K映像を普通に見れるものだと思っていた。現在のサブスマホ。発売時期2017年発売
Huawei p30pro:個人的に初の50倍ズームに触れて凄みを感じた。制裁がかかったので、次のスマホはgalaxyかXperiaを検討中。発売時期2019年
創作:慄
幻獣真戦火 3話 聖教魔法第一学園②
デイアスと人魚が空を見上げ、そこに広がっていたのは青空ではなく、メイドのアモンの顔だった。アモンはデイアスと目が合いながらも本人からは目をそらさず、デイアスの目を真っすぐ見つめている。
「な、なんでしょうか?俺の顔に何かついてます?」
「パ、パパは変なことなんかしてないからね!」
2人の少し驚いた表情を見て、アモンは口元を手で隠して上品に微笑んだ。
突然の微笑みに2人は顔を見せ合い、同じことを思っていた。こいつ気持ち悪いと。
「驚かせてしまい申し訳ございません。朝食の準備が出来ましたので、お迎えにあがりました。ミーティア様の車椅子も用意してありますので、ほっぺの膨らみを沈ませて下さい。」
風でなびく蒼色の髪をかきあげながら単調な口調で言った。
ミーティアとは人魚の名前「ミーティア・ハーネット」の事を指す。ミーティアとデイアスは、いつもより朝食の時間が1時間ほど早いと感じながらも食堂へと向かった。
食堂の机の上にはデイアスとミーティア、他メイド3人と執事1人分の食事だけが置かれており、アリアとグリフォンの食事はおかれていなかった。ミーティアはすぐに自分の食事が置かれている前で車椅子を走らせ、両手を合わせてスクランブルエッグから順に食パン、みそ汁を口の中に運んでいく。
「アリアとグリフォンの飯はないの?」
「アリア様は戦宣に向けての戦闘訓練の真っ最中です。フェイト様はそれに付き合い、お互い訓練場で朝食を取るそうです。デイアス様もお早く食事を済ませてください。登校時間は初日に限り1時間ほど早くなっておりますので」
「それで早いのか。了解」
ミーティアがここに座れと言わんばかりに叩く椅子に座り、食事をとり始める。自分のペースで食べたいと思いながらもミーティアのアーン攻撃に逆らえず、半分近くミーティアのアーンで食事を済ます形になった。食事の最中に聞こえてくる訓練場から感じる魔力の波長に学園で荒れるなと思っていた。
食器を片づけ、部屋に戻って魔動着に着替えた。
自分の無機質な部屋を改めて見渡して一息つく。これで最後にすると心の中で誓い、彼は屋敷の外にある色とりどりの花が咲き誇る花道をしばらく歩き、レンガ壁で囲まれた訓練場まで来ていた。コンクリートで出来た重い門を開けると同時に中から響いていた衝撃音が収まった。
巨大な岩がいくつも乱雑に並べられた訓練場。その中央に立っている赤い腰掛けのついた白銀の鎧を着こんだアリアが、彼を睨んでいた。
「兄さんが訓練場に何のようなの?」
その声は敵意がこもった低い声に少しあきれ気味になりながらも、アリアの前にある巨大な岩の上で彼に困ったなっと言わんばかりの笑みを浮かべているグリフォンに視線を逸らした。
「そんなに敵意を向けるなよ。ただ、もうじき時間だから登校準備をしろって言いに来ただけだ。馬車の準備もしてあるから早めに来いよ。」
アリアは怪訝な顔をしながらも一度頷き、更衣室に姿を消していった。更衣室に姿が消えたのを確認したグリフォンは、ゆっくりと彼の下に降りて、頭を突き出した。なでろという合図だ。
「俺に対する敵意はいつになったら消えるんだろうな?」
「あ奴の敵意は己の弱さからも来ている。聖宣で力づくであ奴を倒すか、あ奴の心の穴を埋めるほかなかろう。儂はあ奴を支えるだけだ。お前にもいつかは心開くだろう。それにだ。」
撫でられている頭を上げて、彼の目を見て言い放った。
「お前はお前であ奴を守らんといかん、理由があるだろう?だからこそ、無暗にどうでもよい考えに手を出すな。」
「お前めんどくさいな。先に行ってるからすぐに運んで来いよ。あいつを」
グリフォンの鼻を軽く押して、メーティスを池に戻して、彼は先に執事が用意した馬車に乗り込み目を閉じた。そのまま彼は夢の中に意識を誘われていった。数十分後に彼は賑やかな人の声が聞こえて目を覚ました。目の前には不機嫌そうに視線を逸らすアリアとその横に小さくなったグリフォンがいた。
いつの間に動き出したのかと閉まっていたカーテンをめくって外を確認する。
中世ヨーロッパ風の街並みが並び、行商人、武器屋、食売り屋などが出店、様々なものを求める大群衆が迷路のような街の中を埋め尽くしていた。中には一般市民を監視する様に建物と建物の間に聖騎士達が立っている。学校までの道のりは険しいのだ。
険しい人波をかき分けていき、その先にようやく学園が見えてくる。
学園の門前には、複数の生徒が波の様に学園の中に流れていく。門前の近くにある停留所で場所を止めるとアリアは執事に感謝の言葉を言い、一人先に人波の中に消えていった。どこまでも自分は嫌われているなと思いながらも彼が馬車を降りた時、執事のラウガに止められた。
「デイアス様、お一つよろしいですか?」
「珍しいね。俺に敵意抱いて口きいてくれないものだと思ってたんだけど?何?」
執事のデイアスは余計な返しをしたきた彼に、多少の呆れを見せながらも自分の願いを口にした。
「貴方に敵意など抱いていません。抱いているのは不信感です。その不信感を持った相手にお願いするのも不快ですが......どうか、お嬢様の事をお守りください。」
「分かってる。心配しなくれもそのつもりだ。」
後ろ手に手を振りながら彼も人波の中に消えていった。
人波に揉まれながらも彼は、周りから嫌というほどの視線を感じていた。ハーネット家当主の暗殺、ハーネット家の暗殺集団の返り討ち事件など情報は、貴族間では広まっていた。それ故にその情報を知る貴族達の子供達は、アリアとデイアスの2名を強く警戒していた。
前門を通り過ぎた先にある5階建ての学園に入り、下駄箱先にある自分の指定された3階の一番右奥の教室へと向かった。
教室は日本の大学の様に階段式の教室になっている。教室内には多種多様な種族がすでに席についている。フェイトと同種のグリフォンやユニコーンにキマイラ、エルフやアラクネやモノアイやシルフなどの妖精もいる。
彼の席は上段の窓側の席、一番端にはすでにアリアが魔導書を広げて勉強をしていた。お互いの存在に気が付きながらもアリアは筆を走らす手を止めずに、黙々と筆を走らせていた。彼もそのことを気にせずに机に突っ伏した。
数分後に誰かに肩を揺すられて、目を覚ました。背後に目をやると緑色の髪に耳が生えたシルフと猫人属のハーフの少女がおどおどしい態度で立っていた。身に覚えのない人物に首をかしげながら、確認をとる。
「えっと、どなたでしょうか?」
デイアスの問いに慌てて周りを見渡して、あたふたしたと思ったら赤面して下を向いてしまった。何をしに来たんだと内心思いながらも彼女の返答を待つ彼、また、デイアスの横でペンを走らせていたアリアも手を止め、ハーフの彼女を疑問に満ちた目で伺っていた。
「あ、あの...恥ずかしいので廊下の隅で...お話いいですか?」
「分かった」
もじもじする彼女は振り絞って声を出したのだろう。クラスの前では世間話で盛り上がってる集団がいくつもある。そのせいで耳をよく傾けないと聞こえないほど、小さな消え入りそうな声だった。当然、彼の力ギリギリ聞こえる程度の声だった為に興味本位で耳を傾けていたアリアの耳には、彼女の声は届いていたなった。
席から立って廊下に向かっていく2人の背中を見て、少し機嫌が悪くなりながらも再びペンを走らせた。その些細な反応を見逃さなかったグリフォンは、机の端で横になりながら微笑んでいた。
教室を出てすぐの廊下端に移動した2人は、気まずい雰囲気を漂わせていた。
廊下の端についたとたんに彼を逃がさぬように防風壁が瞬時に作られた。それはすりガラスの様になり、触れたものをはじき返すほどの強さを誇っている。何かの罠かと思った彼はすぐに彼女を問い詰めた。
「これは......」
「ご、ごめんなさい!そ、その...は、恥ずかしくて...ほかの人に聞いてほしくなくて...」
彼女の今にも泣きそうな潤んだ瞳、今にも泣きそうになっている震えた声に彼は、目の前のハーフの悪い人物ではないんだと判断した。それから落ち着くように声をかけてから、俯いて約2分が経っていた。彼が戸惑っていると彼女が大きく息を吸い、吐いた。そしてパッと顔を上げた。手は震え、目は泳ぎ、顔は真っ赤になっていた。
変な娘に捕まったなと思いながらも彼女の言葉を待つ。
「せ、先日は...お父さんを助けていただき...ありがとうございました‼」
突然のお礼の言葉に困惑した。
彼女の種族はシルフと猫人族のハーフ、最近の事件を振り返ってもシルフや猫人族と関わった記憶がない。助けたといえばクラスト家の当主だけだ。その全容を思い出したも耳もなければ緑要素もなかった。彼は考えているうちにしかめっ面になっていた。その表情をみた彼女は、自分の名前を口にした。
「私、クラスト・ルーナです。こ、これでわ、分かりますか?」
「あ~、え?あの人、人間じゃないの?シルフ要素や猫人要素なんって全然なかったと思うんだけど?」
目の前にいる守ってあげたくなりそうな人形の様に小柄な女の子とクラスト家当主を脳内で必死に見比べても似ている点なんて一切ない。強いてあげるのなら目と鼻と口ぐらいか?彼は似ても似つかぬ2人が親子だとは思えなかった。
「あ、お父さんは、人間とエルフと猫人族のハーフでお母さんがシルフなんです。それで私自身がお母さんの血が強くて、あまりお父さんに似てないんです。それでよく誤解されるんです。はい...」
なるほどと納得した彼は、手をポンっと合わせた。
気難しそうな顔をしていた彼の顔が明るくなった。彼女はそのことが嬉しかった。少し高ぶった感情のまま、もう一つの思いを口にした。
「わ、私と...友達になってください!」
告白する勢いで頭を下げて、右手を彼に向って出した。思いを口にした時に彼女の顔は真っ赤になった。どうしよう、どうしようと何度も頭の中で同じ言葉が反響する。混乱してる中で差し出した手にぬくもりを感じた。
「まぁ、別にいいよ。」
「あ、ありがとう、ご、ございます!」
感謝の言葉を上げながらも恥ずかしさのあまり彼女は、教室の中にダッシュで逃げ込んだ。
その場に取り残された彼は、窓の外に広がる青空を見て思った。
「変な奴がいるんだな」
彼がつぶやいたときに聖宣の前準備を告げるチャイムがなった。