《事故物件》
この世界には数多くの事故物件があることは、言わずも知れたことだ。心霊番組や動画サイトに載ってる動画を見て、どんなに大金を貰っても絶対に住みたくない場所。俺だったらゴキブリ屋敷とどっちにする?と言われてら迷わずゴキブリを選ぶに違いない。ごめん…流石に盛った…。
何故、俺がこんな話をしたと思う?
それは先日の事、俺は家族と一緒にテレビを見ていた。心霊なんって殆どが偽物でしょ!っと強がりながらも恐怖に怯える矛盾しきった俺は、ドッキリ番組を見ていた。
そしてドッキリ番組のだいご味である変態爺が出てくる寸前で、俺のクソみたいな姉貴が「そういえば」っと言ってチャンネルを変えやがった。
テレビに映し出された字幕を見て姉は、子猫バングでも見るような綺麗な瞳をしていた。
そこに映し出されたのは「最恐ノンストップ」という文字だ。
俺の行動はメタルスライムよりも早いと自負している。SHLが終わった瞬間に誰の目にも気づかれずに抜け出せる。
決して友達がいない訳じゃない、俺はただ…一匹狼が好きなだけなんだ。ともかく、その文字が表示された瞬間に俺の体はドアノブに伸びていた。後少し、ノブを下げるだけだった。
だが…
「姉ちゃんを一人っきりにするなよ!お前も一緒にみるんだよ!」
「そんなもん見るわけねえだろ!離せ!クソババ_ウッ」
姉ちゃんは自分の趣味を馬鹿にされると問答無用で手が出る鬼女だ。ババではなく、心霊番組を下に見た瞬間にいつも、切るほどの勢いで俺の腹部を殴ってくる。
その瞬間に俺は走馬灯を見る間もなく、姉ちゃんの胸に押し付けられ、完全に拘束される。そしてノンストップが始まった。
姉ちゃんや妹がいない奴は、胸や下着に触れたり、みれたりしただけでも運がいいと嘆く。が、実際は肉の脂肪に布っ切れとしか思えない。だがらこそ、胸が触れてもそれに浸る時間なんて一秒もない。ただ・・・心霊と言った地獄の時間が始まってしまう。
俺は心霊関係の映像を見た後、眠れなくなる。
言葉では幽霊なんって怖くないとほざいているが、映像を見た後、ベットにつくと変な妄想をしてしまう。決して、思春期真っ只中の男が考えるような内容じゃない。
物静かにしていると部屋の微かな、普段は気にしない音も全て気になり始める。それに伴って、タンスの中から死んだばあちゃんが出てくるんじゃないか、もしくは廊下から物音が聞こえた瞬間に貞子みたいなばあちゃんが迫ってくるなど…まぁ、絶対に無いと分かっていても考える。
それに限界まで行くと怖すぎるせいで、体が無性にかゆくなって眠れなくなると言った負の連鎖が続く。
それから数か月後、俺のクラスに転校生が来た。
少しテンション高めの高校生ながらも幼い顔をした男だ。
俺は一切興味が無かったが、俺の隣の席になって、俺に話しかけてきて、隣のクラスの友達にバレて、友達になると言った最悪な関係になった。だから、リア充星から来たような人間は嫌いなんだ!!
後日、そいつの家に行くことになった。
「俺の家はここだよ。んん……女じゃなく初めて上げるのが男なのが残念な所だが…さぁ、上がるがいい!!」
そういうなら今すぐ帰してくれっと願いつつも友人に無理やり連行された。
俺が嫌なのは、めんどくさいと言う理由もあるが、そこじゃない。一番の理由が此奴の物件が…大島てるに乗っている事だ!しかもレベル5って…馬鹿じゃねえの?自分から地雷原に足をつこっむなんてさ…。
まずおかしいのが、内装だ。外見は、築40年と言った少し小汚い物件だが、他の部屋の家賃は少なくと10万ちかくするらしい。
なのに此奴の部屋は、3万5千円と格安すぎる物件だ。
理由としては…殺人事件3件、自殺6件、病死、2件…うん…馬鹿だ。この物件を残すのも済むのも馬鹿だ。が…
「ここ住み心地が良いんだよな…夜も涼しいし」
涼しい理由は絶対に例が関係しているはずだっと俺は確信している。
「じゃ、私塾だから帰るね」
「え?…あぁ、うん」
今帰った友人は、外見こそ男の様な見た目だが、女だ。
髪は短め、口調も男臭い。だが、私服となれば、服装も可愛く完全に絵にかいたような美人な男の娘になる。買い物も行くし、映画や遊園地にだって行く。
どうして友達同士なのにそこまでするって?違う…俺とアイツは付き合ってるからだ。つまりリア充だ…本当の事なのにこの場が怖すぎて、どうでもいい事が次々に浮かんでくる。
時刻も8時を過ぎた。
俺は奴の部屋で歌詞を食いながら寝転がっていた。すると背後からドライヤーの音が近づいてくる。
半裸状態の見たくもない、奴がドライヤーで髪を乾かしながら近寄ってきた。
だが俺はその異変に直ぐに気が付いた。奴のドライヤーはコンセントから外れた状態だ。俺がビックリしている事に気が付いて、奴は笑った。
「これか?驚いたろ!勝手に動くんだ!ハハハっ」
「いや…それって心霊現象じゃ?」
「まぁ、そうだな。決まってこの時間になって勝手に動き出すから、この時間に風呂に入るんだ。勝手に動くって事は…電気代食わねえから節約にもなるしな!」
なんだろう…なんか…違う。此奴、何かがズレてる!!
「そんな馬鹿にしたような目で見るなよ。一人暮らしをする高校生にとって…事故物件とは天国と読むのだよ!」
「なんとも言えないけど…お前の考えは何か違う!」
「いや違くない!夏場は涼しいし、冷蔵庫に関しても弱モードにしてても、同じく中も冷えるし、物音がする場所に行けばマッサージ代わりにもなる、極めつけには、声が聞こえる場所に行けば、電磁波が飛んでるのか分からんが、コンセント刺さずにテレビやスマホも充電できる。」
「うん、分かった。お前、おかしい。」
「しかも…夜な夜な小柄なロングの胸のでかいお姉さんも出てくるんだ。俺はここに一生住むと決めた。この気持ちは偉い人には分からんのですよ!」
ゲンドウの様なポーズを取りながら、ジオン兵のセリフを突っ込んで来た。そこには触れず、他にも心霊現象は無いのかと聞くと、風呂場の排水溝から変な音がして、覗いたら指みたいのが見えたと、テレビでみたまんまの内容を笑いながら話してきた。
「今もその怪奇現象起こってんの?」
「あぁ…それなら…」
と言って徐に冷蔵庫から…かの有名なソースを出した。
「このデスソースを水に溶かして、そのまま排水溝に流したら…悲鳴が聞こえったきり…無くなったぜ!!」
うん、此奴は強い。
俺は結局のところ、9時過ぎまでこの家に残り、家に帰った。何故だが分からんが…俺はアイツの事が友達として好きになった。
ってか、デスソースって幽霊にも効くんだな。